TeX入門: TeXの出力環境を作成する。(その1、Windows版)
数年ぶりにTeXを使う機会があったので、WindowsにTeXをインストールする方法をまとめてみた。尚、Linuxについては別の記事にまとめる予定なのでそちらを参照して欲しい。
また、この記事を作成するにあたり「[改訂第5版] LaTex2e 美文書作成入門」(amazon.co.jp)という本を参考にした。この本に付属のDVD-ROMに収録されているWindows用のインストーラーは、この記事で紹介している阿部紀行さんのTeXインストーラ3を一部カスタマイズしたものである。インターネットで公開されているものとの違いは、インストールされる関連ツールの一部が差し替えられていること、ファイルの取得先がインターネットでは無くDVD-ROMであること、追加の日本語フォントと設定ファイルなどが含まれていることである。
使用環境
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Windows 7 Professional SP1
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Windows XP Professional SP3
ここでは、TeXインストーラ3を使用して、WindowsにTexをインストールする方法を説明する。TeXインストーラ3を使用すれば、以下のW32TeX(Windows用のTeX)、及び、関連ツールを自動的にダウンロード、及び、インストールすることができる。
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角藤さんによるW32TeX
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dviout for Windows
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Ghostscript
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GSview
TeXインストーラ3のページからTeXインストーラ3をダウンロードする。
TeXインストーラ3はインストールに必要なファイルをインターネットから自動的にダウンロードするため、実行時はインターネットに接続している必要がある。また、古いTeXやGhostscript、GSView、divoutなどがインストールされている場合はあらかじめアンインストールしておいた方が良い。尚、詳細はアーカイブに付属のabtexinst.txtファイルを参照すること。
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アーカイブを7-Zipなどのファイルアーカイバを使用して適当なフォルダに展開する。エクスプローラーを使用する場合は、アーカイブを開くとabtexinstというフォルダがあるので右クリックメニューからコピーし、適当なフォルダに貼り付ける。
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展開したabtexinstフォルダの下のabtexinst.exeを実行してインストーラーを起動する。
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インストーラが起動したら指示に従って[次へ]ボタンを続けて押下する。
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インストールが進むとGostscriptのインストーラーが別に起動されるので、設定はデフォルトのまま[Install]ボタンを押下する。
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同様にGSViewのインストーラーが別に起動されるので、[Setup]ボタンを押下する。また、次のSelect Lunguageダイアログでは[English]ボタンを押下する。
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次の画面以降では、設定はデフォルトのまま[Next]ボタンを続けて押下する。尚、最後は[Finish]→[Exit]ボタン押下で終了となる。
画像GSViewのインストール2~7は省略。
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同様にdvioutのインストーラーが別に起動されるので、設定はデフォルトのまま[OK]ボタンを押下する。
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最後にインストールの完了ダイアログが表示されるので、インストール結果を確認し[完了]ボタンを押下する。
TeXWorksはTeX文書を作成するための統合環境である。TeXエディタとPDFビューワーを含むため、TeXの文書を作成してすぐに結果を確認することができる。W32TeXをインストールするとメニューやダイアログが日本語化されたTeXWorksが一緒にインストールされる。ただし、インストール直後の状態では、TeXWorksで日本語を含むPDFを表示すると日本語部分が全て空白になってしまう。これは、TeXWorksがPDFに埋め込まれていないフォントを表示することができないためで、この問題を回避するには、PDFを生成するさいに日本語フォントが埋め込まれるように設定ファイルを記述する必要がある。
W32TeXのインストール先のtexmfフォルダの下に設定ファイルのオリジナルがあるので、それをtexmf-localフォルダにコピーしてから修正する。アップデートのさいにオリジナルは上書きされる可能性があるのでこのようにする。
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エクスプローラーなどで、texmfフォルダの下の設定ファイル(cid-x.map)をtexmf-localフォルダの下にコピーする。このとき、コピー先に同じ階層のフォルダを作成する必要がある。
コピー元
C:\w32tex\share\texmf\ fonts\map\dvipdfmx\base cid-x.map
コピー先
C:\w32tex\share\texmf-local\ fonts\map\dvipdfmx\base cid-x.map
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コピー先の設定ファイル(cid-x.map)をメモ帳などで以下のように修正する。この例ではWindowsのMS明朝とMSゴシックを指定している。
修正前
% % Ryumin and GothicBBB found in PostScript printers: % rml H Ryumin-Light gbm H GothicBBB-Medium rmlv V Ryumin-Light gbmv V GothicBBB-Medium
修正後
% % Ryumin and GothicBBB found in PostScript printers: % rml H :0:msmincho.ttc gbm H :0:msgothic.ttc rmlv V :0:msmincho.ttc gbmv V :0:msgothic.ttc
エクスプローラーなどから、以下の実行ファイルを起動する。尚、必要に応じてデスクトップなどにショートカットを作成しておくと良いだろう。
C:\w32tex\share\ texworks\ TeXworks.exe
TeXWorksの入力領域に以下のサンプルを入力する。
\documentclass{jsarticle} \usepackage{okumacro} \begin{document} ああ、生きてゐる。何だか\ruby{酷}{ひど}く男が\ruby{羨}{うらや}ましくなつてしまつた。 \end{document}
ツールバーのタイプセットのドロップダウンリストで「pdfpLaTeX」が選択されていることを確認し、タイプセットボタン(緑に矢印)を押下する。その結果、以下のようなプレビューが表示され日本語が表示されていれば設定は正しく行われている。
以上
2011/10/06、新規作成。
2011/10/07、誤字と一部の表現を訂正した。図の位置とサイズを修正した。
2011/10/10、リンクの抜けを修正した。
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